訪問理美容によく起こるトラブル!訪問理美容師が気を付けること

2022.02.21

 

こんにちは。
有限会社 ディ・アイ・シーの定信です。

 

介護が必要な人や寝たきりの高齢者、障がいのある方などにとって、「訪問理美容」のサービスは役立つ存在と言えます。
しかしながら、実際には、カットの現場にていろいろなトラブルも起こっています。

起こり得るリスクを知って、事前に予防策を取ることが何より大切です。
ここでは訪問理美容で生じたトラブルの事例や回避方法、またそれに備えた損害保険などについて紹介します。

 

訪問理美容で起こってしまう事故事例

具体的に、訪問理美容の現場ではどういった事故やトラブルが起きるのでしょうか。

ここでは主に、理美容師が使う道具による問題例について挙げていきます。

カットや顔剃りなどで、理美容師はいろいろな道具を使いますが、時としてそれが原因となるトラブルが生じてしまいます。
危険を防ぐためにも、まずはどういった事故ケースがあるのかを頭に入れておくことが大切です

ハサミ

髪の毛をカットするうえで、ハサミは必需品です。

ハサミを使わないわけにはいきませんが、訪問理美容の場合、髪の毛を切るのを嫌がるお客様もいることは否めません

自ら理美容院に足を運ぶのとは違い、多くの場合は家族が散髪を頼むので本人は散髪を不快に感じているケースもあるのです。
とはいえ、依頼されたなら、指示通りにカットするのが理美容師の仕事です。

そんな中、散髪をしたがらないお客様は施術中に動いてしまう人も見られます。
時には暴れるお客様もいますし、じっとしているのが苦手な人もいます。

そうすると、思いがけない動きによってハサミが皮膚に当たってケガをすることがあるのです。
頭皮や顔などを傷付けてしまったり、突然の動きに思ったのとは違う場所にハサミを入れてしまい怒られたりと、いろいろなことが起きます。

バリカン

寝たきりのお客様のカットをする場合は、ハサミよりもバリカンを使うことが増えます。
長時間同じ体勢を保てない人の施術も、バリカンにて短時間で済ませるほうが散髪しやすいです。

バリカンは刈る部分の長さ調節ができるように、刃先のアタッチメントで調節します。
そうするときれいに統一して刈り上げることができますし、お客様の地肌を傷付けなくて済むのです。

けれども、アタッチメントのキャップを付けていると、襟足に関してはなかなかきれいに刈ることが難しいです。
お客様に動いてもらうか、それが無理な場合は家族の方に動かしてもらうかしなければ、襟足の毛は残ってしまいます。

キャップを付けたままでも襟足をきれいにすることは可能ではありますが、病状によってはどうしてもできないケースもあるのです。
そのことで、技術面についてクレームが出ることもあります。

無理をしてハサミに変えたところお客様が動揺して動き、皮膚に傷が入った事例も見られます。
バリカンは安心といえども、いろいろなトラブルが起きてしまっていることは否めません。

車両事故

訪問理美容の場合、車いすユーザーのお客様も多いため移動する際に車両を使うことがあります。
車いすで専用車両に移る時に、歯車が落ちて車いすごと転落してしまうという事故もありました。

悲しいことですが、転落により亡くなられた方もおられます。
この事故はとてもショックが大きく、ニュースにも取り上げられたようです。
車いすのお客様のケガや事故に関しても、十分に注意を払わなければいけません。

トラブルが起こらないように気を付けること

上記で述べたいろいろなトラブルは、ある程度は予防できます。
まず、カットを嫌がるお客様に対しての対応ですが、上手に前向きな言葉をかけることが大切です。

要介護のお客様に、カットの技術面での説明を長々としてもあまり伝わらないでしょう。
それよりも、「少し髪をいじるだけで、きれいになりますよ」「あっという間にイケメンに変身しましょう」というように、やる気になることを簡潔に話すことがポイントです。

無理やり押さえ付けての施術などは決してやめましょう。
カットをする前に、お客様の病状や性格などを家族や施設スタッフにしっかりと聞いて把握しておくことも事故予防につながります。

どれくらい身体を動かせるのか、どの程度の会話ができるのかわかっていれば、それに合う施術方法を選ぶことができるでしょう。
車いすユーザーの方の場合は、移動式シャンプー台を取り入れるといった方法もあります。

移動式のシャンプー代についてはこちら

できるだけ、お客様の移動をなくすことで、事故が起きる確率も減らせるはずです。
どこでカットをするかについても、よく考えておく必要があります。

車いすの場合、段差がない場所であることは必須です。
施設の部屋でカットするというケースもありますが、自宅でも施設の部屋でも必ず心がけたいのは切った髪の掃除です。

きれいに後片付けをしておかなければ、これもまたクレームが出やすくなります。
掃くだけでなくガムテープを使って落ちた髪を吸着すると良いでしょう。

また、お客様の目に髪の毛が入らないように気を付けなければなりません。
家族や介護スタッフ、ヘルパーさんなどに協力してもらうことで、問題なく施術できることも多いです。
あらかじめ、お願いしておけば安心です。

車両移動に関しても、理美容師側よりも施設スタッフや運転手のほうが慣れています。
車両移動の際の事故を防ぐためにも、ここは慣れているスタッフに誘導指示をお願いしましょう。

 

万が一のトラブルに備えた損害保険。
訪問理美容師が加入できる保険はこちら

何かあった時の備えとして、損害保険に入っておくことも重要です
上記で述べたように、どんなに技術のある美容師・理容師でも事故トラブルが起きる可能性はあります。

訪問理美容において加入できる保険について見てみましょう。

全日本美容業生活衛生同業組合連合会

いわゆる全美連とも呼ばれる、事業者団体です。
1店舗あたりの年間必要費用は1,600円で、掛け金の安さが特徴と言えます。
美容業界における水準向上に力を入れている団体であり、いろいろな業務指導も行っています。
年会費の安さでは断トツなので、業務中の事故損害保険として加入しておいて損はないでしょう。

全日本美容業生活衛生同業組合連合会はこちら

サロン保険net.

全日本美容業生活衛生同業組合連合会は店舗単位での保険ですが、それに対して個人での損害保険がサロン保険net.です。
訪問理美容士の中には、店舗を持っていない人も見られます。

その場合、サロン保険net.のような保険が入りやすいです。
この保険は掛け金は最大月約600円で、これもまた保険の費用としては安いと言えるでしょう。

店舗がない理美容師向きの保険ですが、物損保障もオプションで付けることが可能です。
ベッドや床、お客様の荷物などになんらかのトラブルが発生した場合の物損保障ができます。
自身の訪問理美容の活動拠点や環境などによって、適した団体や保険を選ぶと良いでしょう。

個人で保険に加入する時は、訪問理美容に対応している保険かどうかを確かめる必要があります。
残念ながら訪問理美容には保険がおりないものも見られます。

万が一現場にて事故トラブルが起きた時には、自己判断はせずに保険会社に連絡して指示を仰ぐことが重要です。
自己判断で話し合っていろいろと決めてしまうと、後から保険がおりない事例も見られます。

理美容師側が全責任を担うことは一見正しいかのようにも思えますが、法的な部分などは保険会社でなければわからない点も多々あります。
素人では正しい法は見えにくいので、いろいろ勝手に思い込んで動くのではなく保険会社の指示に従いましょう。

サロン保険net.はこちら

 

まとめ

訪問理美容で生じたトラブルの事例や回避方法、またそれに備えた損害保険について今回は書きました。
常に万が一のことを考えて、想像をしておくことによって、事故を事前に防ぐことが多くあります。
予防策として、お客様の症状や性格を事前に把握して適切な施術法を準備することが欠かせません。

お客様といい関係を築くためにも、最新の注意を払いながら日々の仕事を行いましょう。
スタッフや家族の協力を得ること、そして何かあった時のために損害保険にも加入しておきたいものです。

 

ディ・アイ・シーでは訪問理美容のカットに特化したエアクリッパーという商品を開発しています。
詳細はこちらからご覧ください。

この記事を書いた人
有限会社ディ・アイ・シー

会社案内 昭和61年にヘアーサロンアダムを開業、1年後に出張理美容サービスを開始。7年後にはビューティーサロン「イヴ」を開店とともに、在宅向け出張理美容「アダム&イヴ」を開業。 現在、50施設以上に出張しており、月間約1700人、年間約2万人の調髪をおこなっています。