最近ニーズが高まっている訪問美容師。実際にはどんな働き方があるの?

2022.03.12

ここ最近少子高齢化の影響で、高齢者の方が多くなってきた日本。高齢者の方達もオシャレは常にしていたいものです。
そんなサービスを提供する仕事として、最近ニーズが増加している「訪問理美容師」という職業があります。

美容師と訪問理美容師の両立をしている方やフリーランス訪問理美容師として一本で行っている方など、一概に「訪問理美容師」と言っても働き方は様々です。

今回は、そんな訪問理美容師の方が実際どんな働き方を行なっているのかを記事にしました。

訪問美容師の働き方

一般的な美容師はお店を構え、客が来店するのを待つスタイルです。
中にはヘアメイクや着付けのニーズに応じて出張サービスを行う方もいますが、基本的にはお客様のほうからやってきて、必要な設備や道具が整った場所でサービスを提供します。
これに対して、訪問美容は道具を携えて、お客様のもとに訪問してサービスを提供します。
少子高齢化や地域の過疎化などに伴い、利用者側にも提供側にもニーズが増えている仕事です。

少子高齢化に伴うニーズ

少子化で若いお客さんが減り、お客様の高齢化率が増大しています。
もっとも、高齢になると外出が難しくなったり、座って長時間の施術を受けるのが辛くなったり、ヘアスタイルを気にしなくなるなどして、足が遠のいていきます。
一方、美容院に行けなくなってしまったけれど、本当は行きたいという高齢者の方は少なくありません。
また、身なりは気にしなくなった介護を必要とする方や認知症の高齢者であっても、髪を整え、清潔にすることは大切です。
お店で待っていても、若いお客様も高齢のお客様も来てくれないのであれば、美容師側も訪問しないと収入が得られません。
そこで、店舗での来店対応+訪問美容で収入の両輪を作る働き方や運営コストのかかる店舗運営はやめ、訪問美容に特化する働き方も増えてきました。

過疎化で高まるシフト率

地域によっては若い人を含めた人口が減少し、高齢者率が増えるとともに、住宅街が空き家だらけになる過疎地域も増えています。
高齢者の一人暮らしや高齢者世帯が増えるだけでなく、高齢者だけの生活が不安になった場合や介護が必要となり、介護施設や老人ホームなどに入所してしまうケースも多いです。

となると、地域の高齢者をターゲットに美容院を運営しようとしても、お客様の来店が見込めなくなります。
そうであれば、こちらから地域の介護施設や老人ホーム、病院などに訪問し、仕事を得ていく必要が生じます

主な働き方

訪問美容師として働きたい場合の主な働き方は、通常の美容師とスタイルは同じです。
個人として開業するか、問美容を提供しているサロンや事業所、派遣業者などに所属することです。

個人として開業する

個人として開業する場合、大きく2つのスタイルがあります。
1つは店舗を構え、店舗での接客によるサービスの提供と訪問によるサービスの提供を両立させる方法です。
両立の仕方は、提供する地域の客層やニーズなどによっても異なります。

たとえば、曜日によって分ける、時間帯によって分ける、予約によって分けるなどです。
月曜日と火曜日は施設に訪問し、それ以外は店舗営業をする。
午前中は訪問サービスを行い、午後は店舗営業の時間にするといった方法がとれます。

実際にサロンと訪問美容を両立している、土田様のインタビュー記事はこちら

また、訪問は予約が入った時のみ対応し、予約が入った日時だけ店舗は臨時休業するなどです。
この働き方は、すでに独立開業して店舗を構えており、常連客もある程度いて、来店サービスを廃止したくない方に向いています。

一方、これから訪問美容に特化して独立開業したい場合、店舗は持たず、自宅を拠点にサービスを提供するのがおすすめです。
店舗を借りたり運営する費用を抑えることができるので、開業資金も少なくて済み、万が一うまくいかなければ、サロンに就職した際やほかの仕事をするにも手間がかからず、損失を最小限に抑えられるからです。

実際にフリーランス訪問理美容師として活動をしている横山様のインタビュー記事はこちら

サロンや事務所に所属する

一人でやっていくのは不安な方や開業資金がない方、訪問美容のノウハウを仕事をしながら学びたい方などは、サロンや事務所に所属して働く方法があります。

店舗でのサービスを提供しながら、訪問美容サービスも提供しているサロンに勤務するのが一つの方法です。
気を付けたいのは、店舗サービス、訪問サービスをフレキシブルにこなす働き方と店舗の接客に特化する美容師と訪問美容に特化する美容師を分けているケースがあることです。

訪問美容師としてのキャリアを形成していきたいなら、訪問美容師として働ける求人に応募しましょう。
もう一つは訪問美容師の派遣を行うことや利用者とのマッチングサービスを提供する団体に登録して働く方法です。

法人契約を獲得していて、定期的かつ継続的に仕事ができるケースもありますし、
依頼が入った時だけ。かつ、自分の経験や対応エリア、日程などが合致した時だけ仕事ができるケースもあるので、「自分が求める働き方と合うか」登録前に確認をしましょう。

 

主な働き場所

主な働き場所は個人宅への訪問、介護施設や老人ホーム、病院や福祉施設など一度に多くの利用者が見込める施設訪問です。

仕事量が多く、収入が増やせる施設訪問に特化する個人やサロン、事業所もありますが、安定収入が見込める施設訪問にプラスして個人宅訪問の依頼も受けることでバランス良く仕事ができ、収入も増やせます。

もっとも、地域によって暮らし方も異なり、個人としてのニーズがある地域もあれば施設がない地域などもあるので、マーケティングをしながら働き場所を考える必要があります。
ここでは、主な働き場所においてどのようなニーズがあり、どのような働き方をするのか、特徴や違いを確認しておきましょう。

 

 

個人宅への訪問

一人暮らしの高齢者や高齢者世帯で、年齢や身体能力の低下で外出が難しくなった場合や免許返上をして美容院まで行く足がなくなった高齢者宅や在宅介護や自宅療養をしている高齢者や障がいのある方などを訪問してサービスを提供します。

高齢者に限らず、病気やケガで自宅療養中である場合や身体障がいや知的障がいがある方、妊娠中や出産後の産休でサロンに行くのが辛い方など、若い方やお子様がお客様になることも少なくありません。

基本的には一人のお客様ですが、ご高齢の夫婦で利用する、妊娠中のママと小さなお子様親子で利用するケースもあります。
道具を持参し、基本的にはお客様宅の洗面所などでシャワーを借りて洗髪をすることやカットやカラーなどを行います。

お客様のご自宅の環境によって、対応できるサービスに制約が生じる場合や施術のしやすさに違いが出るのが特徴です。
定期訪問の依頼を受けられる場合もありますが、個人宅訪問の場合は、必要が生じた都度の依頼が多いです。

施設への訪問

老人ホームや介護施設の高齢者や障がい者施設の入所者、美容室や理容室のない病院の病棟、長期入院をしている子供たちなどを対象に訪問を行います。

個人宅訪問と異なり、一度の訪問で複数の利用者に対応ができます
訪問する美容師の数にもよりますが、1回当たりの収入が大きくなるのがメリットです。

また、月に1回など定期訪問の契約が得られるケースもあり、継続的、安定的な収入につながることもあります。
サービスの提供の仕方は、施設側で用意した部屋や食堂など集まれる場所での施術をはじめ、利用者の個室や病室での個別対応もあります。

サロンや事業所の場合、洗髪イスなど設備が整った訪問美容カーで訪れ、利用者を車内にお連れする場合や車いすで乗車してもらう形でサービスを提供するケースも増えてきました。

 

おわりに

訪問美容の働き方はさまざまです。
個人で活躍するのか、サロンや事業所に所属して仕事を得るのかの違いのほか、店舗での接客と訪問サービスを両方行っていくのか、訪問美容に特化するのかの違いもあります。
働く場所は個人の場合はその都度依頼が多く、施設の場合、1回の訪問で複数を対応でき、定期契約によって安定的かつ継続的な収入が得やすくなります。
そのため、施設訪問で収入基盤を築きつつ、個人の依頼をプラスすると安定した仕事がしやすいです。

 

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この記事を書いた人
有限会社ディ・アイ・シー

会社案内 昭和61年にヘアーサロンアダムを開業、1年後に出張理美容サービスを開始。7年後にはビューティーサロン「イヴ」を開店とともに、在宅向け出張理美容「アダム&イヴ」を開業。 現在、50施設以上に出張しており、月間約1700人、年間約2万人の調髪をおこなっています。